「本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む」を読んだ
凄かった。
30歳を過ぎるまで本を読んだことがないというみくのしんさんが、友人であるかまどさんと一緒に初めての読書体験に臨む、という内容。
オモコロの記事で公開された時も衝撃だったが、こんなにも圧倒的なエネルギーを以て本の世界に入り込むことができるなんて。
書籍に収録されている「走れメロス」編の元記事はこちら
みくのしんさんの本への向き合い方は恐ろしくなるくらい純粋で、不安定で、鋭利だ。
メロスの残り時間をティッシュで表現するところや杜子春にキレ散らかしているところは爆笑してしまった。かと思うと急に登場人物の行動原理を的確に言い当ててきて驚かされる。
それに対するかまどさんのフォローが素晴らしい。まっすぐみくのしんさんと向き合い、必要なところはフォローして、非常に独特な読書を尊重して否定しない(ツッコミはするけど)。かまどさんがいてくれるからこそ、安心して感じたこと全てを垂れ流せているんだと思う。
一文一文読み込んで想像してかみ砕くという行為が物凄く丁寧に行われていて感動する。
後世に伝えられる作品は面白いからこそ後世に伝えられているという当たり前のことが、この本を読んで改めて理解できた。
子供の頃、国語の教科書は授業中に暇を見つけては隅々まで読んでいたし、家電やゲームの説明書を読み耽る程度には活字が好きだった。
学校の図書室や町内の図書館に通っていつも貸出可能冊数ギリギリまで借りる程度には本が好きだった。
あの頃の自分が持っていた読書に対してのときめきを、この本を読んで思い出せた気がした。
感想文を書くのって難しい。
自分の心情を言葉にして外へさらけ出す行為が苦手だ。
音楽の授業中、曲を聴いた感想をプリントに書くイベントがちょくちょくあったのだがかなりしんどかった覚えがある。30分くらい悩んで「いい曲だと思った」「壮大な曲だった」みたいなペラッペラの感想しか書けない。周りのクラスメイトが10行20行果てはプリントの裏面まで書いているのを見て「コ、コワ~~~……」とか思っていた。(この記事も文量的にはさほど長くないけど書くのにやたらめったら時間がかかっている)
感受性に乏しいとか、語彙力が無いとか、思考の整理に時間がかかるとか色々言い訳は思いつくけど、結局は「自分の言葉を世界に向かって発信するのってなんか恥ずかしい~~~!」の一言に尽きるのかもしれない。
でもみくのしんさんの読書には、その「恥ずかしい」の壁をぶち破るパワーがあった。せめてこの本の感想だけでも頑張って書いてみたい、と思わせてくれるどでかいパワーが。
進学して、社会人になって、活字の本を読む機会は格段に減った。マンガは大好きで買い続けているけど、同じ作品を読み返す回数は明らかに減っている。
だからこそ、出会えた作品に対して自分が感じた気持ちを記録としてできるだけ残しておきたくなった。
感想文という体で書いたけど、めちゃくちゃ自分語りが多くなったな。
でも読書感想文ってそういうものだった。
1(時には0.3くらい)の体験を10に水増しして原稿用紙を埋め尽くせ!
最近公開された山月記を読む記事も大変面白かったです。
