「変な家」を読んだ
元々はオモコロの記事から生まれたミステリーであり、その後公開されたyoutubeの動画から人気に火が付き、書籍化、コミカライズ、映画化と様々なメディアミックス作品が生まれている。
読もう読もうと思いながらずるずるタイミングを逃し続けていたのだが、先日読んだ「本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む」にてこの本に触れられており、今しかないとやっと購入に至った次第である。
あらすじ
知人が購入を検討している都内の中古一軒家。
開放的で明るい内装の、ごくありふれた物件に思えたが、間取り図に「謎の空間」が存在していた。知り合いの設計士にその間取り図を見せると、この家は、そこかしこに「奇妙な違和感」が
存在すると言う。間取りの謎をたどった先に見たものとは......。
オモコロ掲載時の記事はこちら
書籍では記事で取り上げた一軒家に加えて、読者から情報提供があった別の「変な家」にまつわる謎とともに展開されていく。
一見何の変哲もない近所の家も、もしかしたら……という日常に侵食してくる不気味さがある。
ストーリー部分が面白かったのはもちろんなのだが、特に触れておきたいのはこの本の構成についてである。
「本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む」では雨穴さん自身が以下のように述べていた。
私は、作家である前にWEBライターなので、小説でも「とにかく読みやすいものを作ろう」と心がけているんです。インターネットでは、少しでも読みにくい文章を書くと簡単に読者が離れていくじゃないですか。
(中略)
実は、「変な家」を書くときに、私の中で想定していた読者がみくのしんさんだったんですよ。
「本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む」302、303ページより
「変な家」は、まさに「とにかく読みやすい」のである。
みくのしんさん(本名)は30歳を過ぎるまで本を一冊も読んだことがない、というなかなか珍しい境遇の方だ。
このみくのしんさんを想定読者に据えて書かれた本が、読みやすくならない筈がない。
ミステリーにおいて建物の間取りが謎の鍵になることはままあるが、ネックになるのはいかに読者にトリックの成立が難しく、かつ実施可能であるか理解させることだと思う。
私自身これが下手なタイプの読者なので(関係あるか分からないが地図を読むのも大の苦手)、何度も前のページに戻って必要な情報を確認したり、理解し切れないままとりあえず先のページに進んでしまったりすることがある。
その点「変な家」ではとにかく間取りの図示が多く、都度復習ができたおかげで振り落とされることなくすらすらと最後まで読み切ることができた。
また、難しすぎる単語は避けていること、会話文が多く内容に入り込みやすいことも読みやすさの大きな要因になっている。
いい意味であまり頭を使わずに楽しめる一冊だった。
